スピードテストの結果はなぜサイトごとに違うのか

同じ回線でも数値が変わる理由と、BNRスピードテストが実効スループットを重視する考え方を説明します。

スピードテストの数値は、使うサイトによって高くも低くも出ます。これは回線の良し悪しではなく、サイトごとに「何を速度とするか」の考え方が違うためです。BNRスピードテストは、実際に使える速度(実効スループット)に近い値を基準にしています。

同じインターネット回線を測っても、使うスピードテストのサイトによって表示される速度は変わります。

「BNRスピードテストは、ほかのサイトより数値が低く出る」と感じることがあるかもしれません。しかし、それは回線が遅いという意味でも、測定が不正確という意味でもありません。

スピードテストは、サービスごとに「何を速度として表示するか」「どのサーバーと通信するか」「何本の通信を同時に使うか」が異なります。BNRスピードテストは、数字を大きく見せることよりも、実際に利用できる通信速度に近い値を示すことを重視しています。

補正の違い制御情報を含めた回線速度に寄せるか、実際に使えるデータ量を示すかで数値が変わります。
経路の違い測定サーバーの場所、通信経路、CDNやキャッシュの有無で結果は上下します。
測り方の違い同時接続数、測定時間、開始直後の扱いによってピーク速度の出方が変わります。

「回線の太さ」と「実際に使える速度」は少し違います

インターネットの通信では、動画やファイルなどの本体データだけでなく、通信を成立させるための制御情報も一緒に流れています。

郵便にたとえると、中身の手紙が「実際に使えるデータ」、封筒や宛名が「制御情報」です。配送路を流れるのは封筒ごとですが、利用者にとって役に立つのは中の手紙です。

封筒と手紙のたとえ 回線を流れるデータは手紙(実際に使えるデータ)と封筒(制御情報)に分かれ、スピードテストが見るのは手紙の部分だという説明図。 手紙 = 実際に使えるデータ 動画・ファイル・Webページなど、役に立つ「中身」 封筒・宛名 = 制御情報 通信を届けるために付く付随データ(オーバーヘッド) 回線を流れるデータ全体 手紙(実際に使えるデータ) 封筒 BNRスピードテストが「使える速度」として見るのは、この部分です。 ※イメージ図(実際のオーバーヘッドは数%程度)
回線全体の通信量に近づける表示 測定値に補正をかけ、HTTPやTCP/IPなどの制御情報を含めた速度に近づけます。回線の最大性能を見せたい場合に使われます。
実際に使えるデータ量に近い表示 実際に受け取れたデータ量をもとに表示します。ファイルのダウンロードやアップロード時の体感に近い値になります。

BNRスピードテストは、後者の考え方を重視しています。そのため、補正をかけて表示する測定サイトと比べると、同じ回線でも数値が少し控えめに見える場合があります。

オープンソース測定エンジンにも「補正」の考え方があります

広く使われているオープンソースのスピードテストエンジンにも、通信のオーバーヘッドを補正する設定があります。

たとえば LibreSpeed では、overheadCompensationFactor という設定があり、標準では 1.06 が使われています。これは測定されたデータ量に約6%を上乗せして、HTTPやTCP/IPなどの通信オーバーヘッドを含めた速度に近づけるための設定です。

同じドキュメントでは、実測に基づく例として IPv4 では 1.0369、IPv6 では 1.0513 といった値も示されています。つまり、スピードテストの表示速度は、単に測った値だけでなく、「どの補正係数を使うか」によっても変わります。

補正を使うこと自体が間違いというわけではありません。回線全体の通信量に近い値を見せたい場合には、合理的な考え方です。

一方で、BNRスピードテストは、実際にファイルをダウンロード・アップロードするときの体感に近い「実効スループット」を重視します。そのため、過大な補正を行わず、実際に利用できるデータ量に近い数値を表示する方針です。

参考: LibreSpeed の 公式リポジトリドキュメント では、オーバーヘッド補正の設定値が説明されています。

測定サーバーや経路でも結果は変わります

スピードテストは、利用者の端末と測定サーバーとの間の通信速度を測ります。

測定サーバーが近い場合や、通信経路が空いている場合は、数値が高く出やすくなります。逆に、測定サーバーまでの経路が混雑していたり、遠回りになっていたりすると、数値は低くなります。

また、CDNを経由する構成では、実際の測定先が利用者に近い場所になることがあります。CDNは、画像やファイルなどを世界中の配信拠点に置き、利用者に近い場所から返すことで表示やダウンロードを速くする仕組みです。この場合、非常に良い数値が出ることがありますが、それは必ずしも普段アクセスするすべてのサイトで同じ速度が出るという意味ではありません。

BNRスピードテストでも、Cloudflareのように利用者に近い拠点へ接続される測定先を使っています。これはCloudflareのネットワークまでの到達性を含めた測定であり、近い拠点につながりやすいぶん、数値が出やすい場合があります。

一方で、BNRスピードテストの測定では、毎回異なるURLで取得する、ブラウザ側でキャッシュを使わない指定をする、上りではPOSTでデータを送る、といった方法を使っています。そのため、一般的な「キャッシュ済みファイルを読むだけ」の測定とは性質が異なります。

同時接続数や測定時間でも差が出ます

多くのスピードテストでは、複数の通信を同時に使って測定します。同時接続数が多いほど、回線を一気に使い切りやすく、ピーク速度は高く出やすくなります。

これは「回線の最大性能」を見るには有効です。また、現在のWebサイトでは、HTTP/2やHTTP/3といった仕組みにより、ブラウザが自動的に複数の通信を同時に行っています。そのため、複数接続での測定も、決して非現実的なものではありません。

言いかえると、単一接続での測定は「大きなファイルを1つダウンロードするときの体感」に、複数接続での測定は「画像や動画がたくさんあるWebサイトを読み込むときの体感」に、それぞれ近い値です。どちらかが正しいというより、見ている「使い方」が違うと考えると分かりやすいです。

また、通信は開始直後にすぐ最高速度へ到達するわけではありません。TCPの仕組みにより、通信速度は少しずつ上がっていきます。そのため、測定開始直後の立ち上がりを含めるか、安定してからの区間だけを見るかによっても、結果は変わります。

「数値が低い = 悪い測定」ではありません

スピードテストの数値は、測定方法によって変わる相対的な値です。

あるサイトより数値が低く出たとしても、その差が補正方法や測定方式の違いによるものであれば、低い方の数値が実際の利用感に近い場合もあります。

さらに、測定サイトの仕様だけでなく、利用者側の環境も数値に影響します。Wi-Fiの電波状況のわずかな揺らぎや、スマートフォンが裏で行っている更新・同期などのバックグラウンド処理によって、同じサイトで測っても結果は偶然的にぶれます。「サイトによって結果がまったく違う」と感じるとき、その一部は、こうした端末側やWi-Fi環境のわずかな変動によるものです。

大切なのは、一度の測定結果だけで判断しないことです。同じサイト、同じ端末、同じ接続方法、近い時間帯で複数回測ることで、回線状態の変化をより正確に把握できます。

BNRスピードテストの考え方

BNRスピードテストは、長年にわたり、特定のプロバイダに紐づかない独立した測定サービスとして運用してきました。

本サイトは、見た目に大きい数字を出すことよりも、利用者が実際に使える通信速度に近い値を示すことを大切にしています。

そのため、補正をかけて回線速度を大きめに表示する測定サイトと比べると、BNRスピードテストの結果は控えめに見えることがあります。

しかし、それは測定が低く出ているのではなく、実効スループットを重視しているためです。

大きく見える数字よりも、実際に役立つ数字を。
それがBNRスピードテストの測定に対する考え方です。

本ページは、スピードテストの結果がサービスごとに異なる理由を説明するものです。特定のサービスの優劣を断定するものではありません。

実際の回線状態を確認してみましょう。

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